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2005年8月23日 (火)

物書きさんに20のお題 // 16.BGM

人物設定;
主人公>>僕・カズちゃん
>>リョーコ

 

  

■ラ・カンパネラ■

 

 

「昨日、部活の先輩から告白されちゃった」
 僕とリョーコしかいない放課後の教室。
 含みのあるリョーコの声が、僕の心をぎゅっと掴む。
 僕は頭の中のレコードに針を落として、昨夜聞いたリストの『鐘』を流した。
 それから一呼吸おいて、「そうなんだ」と答えた。
「うん…その先輩、カッコいいし、優しいし、楽器も上手だし…」
 リョーコの声に頷きながら、僕は鐘の音に浸る。ピアノの白と黒の鍵盤を流れるように動く誰かの指の動きを想像する。
「だから、考えさせて下さい、って言っちゃったけど、付き合おうかな~って」
 起承転結のような、一定のフレーズが繰り返される。
 そう、繰り返される。
「その先輩のこと、好きなの?」
「うーん。嫌い、じゃないよ。好きな方かな?」
「ならいいんじゃない?」
 何度こうして、リョーコの恋愛相談に乗っただろう。
 リョーコの一番の親友として認められている僕は、何度こうして頭の中のレコードに身を委ねただろう。
「リョーコが不幸にならなきゃ、私はそれでいいよ」
 うまく笑ってみせる僕。
 リョーコを騙しているような気がして、罪悪感が芽生えるけども、ずっと奥まで根を張っている背徳心の方が痛い。
「大親友のカズちゃんがそう言ってくれるなら、付き合おうかな?」
 目を細めて笑うのは、目を合わせないため。
 僕の嘘を見抜かれないため。
 エンドレスする鐘の音。
 繰り返される起承転結。
 その中に、僕が組み込まれる事は、一生無い。
 鐘は、リョーコの為だけに鳴り続けている。

 

 

【end】

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コメント

こんばんわ。読みました(とゆーか毎回読んでます)。
はからずも、今書いてる最中の短編と似たようなお話だったので感想をと思って。

友達だ、と思っていた関係が崩れるのが怖くて何もアプローチしない(出来ない)というのがありますが、この小説の《僕》もそうですよね。やっぱし友達のことを思えば笑って祝福しちゃうものなのかなぁ。こちらも短編で書いてて悩みます。《僕》の気持ちの置き所というか。

一人称は《僕》だけど、会話文では《私》を使ってる《カズちゃん》は女性なんでしょうか。ここにすこしだけ引っかかりました(人物背景が)。

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