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2005年7月20日 (水)

物書きさんに20のお題 // 13.P.S.

人物設定;
主人公>>サヤ・女・29歳・事務員

 

 

■励まさレター負け犬■

 

 

『20歳のサヤへ

 

こんにちは、10年後のサヤ。元気ですか?
私は10年前のサヤです。私は元気です。
あなたは今、何をしていますか?かんごふですか?学校の先生ですか?
もしかしたら、もうおヨメさんになっていますか?
私はいま10才で、小学5年生です。
毎日学校で、同じクラスのマミちゃんや、ヒーたんと遊んでいます。
10年後のサヤは、だれが好きですか?
私はいま、となりの席のナカオくんが大好きです。
ナカオくんは背が高くて、カッコ良くて、みんなの人気ものです。
みんな私のとなりの席をうらやましがっていて、ちょっとイジメ(?)みたいなのもあるけど、マミちゃんやヒーたんがいるので大丈夫です。
そういえば今日、ナカオくんが落とした消しゴムを、私が拾ってあげたら、「ありがとう」と言ってくれました!チョーうれしかったです!!
10年後の私は、ナカオくんのことまだ好きなのかな?
もしナカオくんのことをまだ好きだったら、きっとナカオくんとケッコンできると思うから、がんばってね!!

 

P.S.
サヤはあきらめが早いって、先生にもお母さんにも言われるけど、そんなことないよ!
かんごふも、学校の先生も、おヨメさんも、ナカオくんも、最後まであきらめないでね!!

 

10才のサヤより』

 

 
 押入れの奥から、10歳の私が、10年後の自分宛てに書いた手紙が出てきた。
 私はこんな手紙を書いた事をすっかりと忘れていて、この手紙の有効期限年は、もうとっくに過ぎてしまっていた。
 30歳を目前とした私は、10歳の私が望んでいた、看護婦にも学校の先生にも、ましてやお嫁さんにもなれずにいる。
 いまの私は、中学・高校・短大を無難に卒業し、就職活動中にたまたま受かった地元の中小企業で事務員をしている。
 同期に入った女性社員は、半分は結婚し、またその半分は寿退職した。
 未婚の社員は「もうそろそろ女の幸せを掴んだら?」とか「イイ相手紹介しようか?」という上司の日々の一言に耐えつつ、決して上りきることの出来ない階段を踏みしめる。ただ毎日を、何事も無く過ごせるように生きている。
 幼い頃は、見るもの全てが新鮮で、下らなく小さな物事にでも疑問を持っていたけども、あの感覚はもう、どこにも無い。
 むしろいまは、新しい物自体を求めるのを怖くなってきている。
 変わらないこと、穏やかであることが、自分に一番必要なもので、それが平和だと認識している。
 でもその事に気付くと、なぜか、胸が苦しくなる。
 悲しくなる。

 

「ごめんね…」

 

 私は、手紙の中で息づいている10年前の私に謝った。
 夢を叶える事ができず、新鮮な心を保つ事ができず、ありふれた大人になってしまったことを謝った。
 私は、何をしてきたのだろう。
 この20年間、何を考え、何を思い、何のために生きてきたのだろう。
 ふいに涙が出てきた。
 まるっきり何もないような自分が、腹立たしく思えた。
 それでもなお、無駄とは思いたくない。
 私はここまで生きてきたことは、決して無駄ではなかったと、言い張りたい。
 そう、私は諦めが悪い。
 諦めやすいといわれたのは、10歳までだった。
 だから大丈夫。まだ、やり直せる。
 10歳の私が、いまの私の背中をそっと押してくれたから。

 

 

【end】

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